今年3月にオープンした「デカトロン」日本1号店

多くのファストファッション関係者が、その動向に注目するフランスのスポーツ・アウトドアショップ「デカトロン」。今年3月の日本1号店(兵庫県西宮市)オープンに続き、2020年にはいよいよ2号店を出店する公算だ。

商品の安さが耳目を集めがちで、経営スタンスや戦略については語られることが少ない。今回、デカトロン日本事業のキーマン2人を直撃。開発・生産体制、販売戦略、店舗運営など独自の経営戦略に迫った。

本連載「ファストファッション新時代」は11月23日号の特集としても掲載します(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

世界55カ国で約1570店舗を展開、売上高1兆3000億円超(2018年度)。スポーツ・アウトドア製造小売業(SPA)の巨人「デカトロン」。今年3月、兵庫県西宮市に日本1号店をオープンし、「黒船襲来」と話題になったのは記憶に新しい。

デカトロンは、1976年にフランスで創業した会社だ。創業から40年超、今や100種類ほどのスポーツや競技の商品を開発し、製造・販売している。店頭で扱うのは、自社オリジナル商品のみだ。

阪急電鉄・西宮北口駅近くの商業施設「阪急西宮ガーデンズ」の入口から遠く、奥まったエリアの3階にデカトロンの店舗はある。デカトロン目当ての客しか足を運ばないと思われるような、利便性が高いとはいいがたいエリアだが、平日の夕方でも、子ども連れの女性や夫婦、スーツを着た会社員など店内には買い物客が十数人いた。

「西宮市に住む人々のスポーツ傾向を考え、デカトロンの100種類のスポーツの中から30種類を選び抜いた」と、西宮店のバート・オンヒナート店長は言う。約1800平方メートルの店内には、キャンプ・ハイキングのほか、ランニング、ボディビルディング、サイクリング、サッカー、ゴルフなどの棚が並ぶ。

約1800平方メートルの店内には選び抜かれた30種類のスポーツ用品が並ぶ

中でも、店内の5分の1を占めるのがキャンプ、ハイキング、クライミングといったアウトドア商品。デカトロンという名前は知らなくても、登山やキャンプなどのアウトドア用品のプライベートブランド「QUECHUA(ケシュア)」なら目にしたことがあるかもしれない。ケシュアはデカトロンが日本に出店する前の2015年に、フィッシングやアウトドアを中心とした日本のネット通販「ナチュラム」上でオンラインストアを開設し、日本市場を開拓してきたからだ。2人用キャンプテントが3000円台という商品もあり、アウトドアやキャンプ愛好家の間では、「デカトロンは低価格スポーツ、アウトドア用品店」という印象が強い。

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安さの裏には、独自の生産体制と販売戦略がある。