国際貿易が生む格差、雇用への影響が広がる 重要な視点は輸出と技術進歩

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2016年の英国のEU離脱国民投票と米国のトランプ氏大統領当選を境に、国際貿易を取り巻く環境は大きく変わった。それ以前は関税削減や貿易の円滑化などが活発に進められてきた。しかし、近年は米国のNAFTA(北米自由貿易協定)見直しや米中貿易戦争、英国のEUとの関税同盟からの離脱など貿易制限的な政策が目立っている。

背景には、移民問題と並んで、中国などの低所得国からの輸入増加が製造業雇用を大きく減少させたことによる、労働者らの不満の高まりがある。このような国際貿易による雇用への影響は、特定の地域や業種の従業員に集中する可能性があることが米国の研究でわかっている。より詳しくみていこう。

米国では2000年代に入り、中国からの輸入が拡大。製造業が衰退し、輸入競争と雇用の関係についての研究が再び脚光を浴びている。その代表例が米マサチューセッツ工科大学のデービッド・オーター教授らの一連の研究だ。オーター氏らは、米国の地域別データを用いて、中国からの輸入品増加が当該地域の製造業・非製造業の雇用者数、賃金、社会保障受取額に及ぼす影響を分析している。

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