TiAは3度目のメジャーデビューに至るまでに、大きな挫折を経験した。その苦い経験も歌にはプラスだったようだ(撮影:鈴木紳平)

米最大級のゴスペル大会「マクドナルド・ゴスペル・フェスト」。2016年5月、日本人歌手のTiA(ティア)は、コーラスグループ「おむすびシスターズ」のメインボーカルとして出場した。毎年2万組以上の応募があるこのゴスペル大会は、出場者のほとんどが黒人だ。その中で、アジア人では初のグループ部門優勝という栄冠を勝ち取った。

TiAは04年、16歳でメジャーデビューしている。そのうえ米国で高い評価を受けたわけだ。こう書くと、彼女の経歴は成功に満ちているかのようだ。しかし、実際は挫折の多い半生だった。

「夢も希望もすべて失った。もう音楽活動をやめたい」

デビュー10年目を迎えた14年、TiAは歌手として生きることを諦めて、誰も知り合いがいないニューヨークに移り住んだ。しかし、19年6月に発売したアルバムのタイトル『MIRACLE』が示唆するように、奇跡のような巡り合わせが、彼女を3度目のメジャーデビューへと導いた。

挫折からはい上がるまでに、いったい何があったのか。彼女の華麗な最初のデビューから振り返っていこう。

母親が演歌歌手という境遇で育った横浜出身の少女、TiAがデビューのきっかけをつかんだのは、14歳で初めて作詞・作曲した曲だった。のちにデビューシングルとなる『Every time』のデモ音源が、音楽事務所SMエンタテインメント・ジャパン社長、栗田秀一の目に留まったのだ。