企業評価の能力は財務のプロ以外も問われる(写真は米ウォール街)

財務が専門でない投資家やビジネスパーソンにとって、わかるようでわからないのが「ファイナンス」。詳細な計算式はさておいて、考え方の基本だけでも理解しておきたい。早稲田大学ビジネススクールの西山茂教授に、ファイナンスのよくある疑問について、誌上講義をしてもらった。

疑問1. 会計とファイナンス、どう違うのか?

会計とは企業の立場で数字を扱うもの。具体的には、企業の業績を外部に報告する財務諸表の作成・分析に関する「財務会計」と、社内で経営管理をする「管理会計」との2つに分かれる。

一方のファイナンスは、企業にお金を出す金融機関や株主の立場で、企業に関する数字を扱うもの。具体的には企業が事業を進めるために、どのようにお金を集め、どう投資をして、どう儲けを株主に還元するかの3つがポイントになる。企業は外部からお金を預かって事業を行うので、お金を出している立場の考え方を理解して経営を行い、企業価値を向上させていくことが求められる。

会計はどちらかというと“過去”の話がベースになるが、ファイナンスは投資家の目線で“将来”を予測する面が強い。

近年は上場企業が外部の投資家の目線を意識する必要性が増している。そもそも日本でファイナンスへの意識が高まったのは2000年以降。かつて日本企業の資金調達は銀行からの融資が中心で、株式は持ち合いが多く、ファイナンスの考え方を取り入れていたのは、海外とのやり取りの多い商社など一部にすぎなかった。