10月16日、2020年東京五輪のマラソンと競歩をめぐり、国際オリンピック委員会(IOC)が暑さ対策として、会場を東京から札幌に移す計画を発表した。小池百合子東京都知事は、どうもこの情報を最終段階で知らされたようで、機嫌を悪くした。こういったことは政治の世界で時々ある。小池氏はその鬱憤を、奇妙な方向で晴らした。

10月17日、東京都内で開かれた連合東京の大会の来賓あいさつで小池氏は、開催場所の変更計画を北方領土問題と結び付ける奇妙な提案をした。〈(小池氏は)「涼しいところでというのなら、『北方領土でやったらどうか』くらいなことを連合から声を上げていただいたらと思うわけです」とも発言。さらに「ロシアのプーチン大統領と親しい総理や森(喜朗・大会組織委員会)会長でいらっしゃるから、『平和の祭典を北方領土でどうだ』ということぐらい、呼びかけてみるのはありかと思います」と述べた〉(10月17日「朝日新聞デジタル」)。

森氏が開催地の長である東京都知事の頭越しにIOCと協議して、マラソンの開催地を札幌に変更したことに小池氏が腹を立てて思わず口が滑ったのだと思われる。こういう場合は、後から「あれは言いすぎだった」と撤回するのが通常の対応であるが、小池氏はそうしなかった。〈北方領土をめぐる発言について、小池氏は17日夕方、記者団の取材に対し、「突然の札幌、北の方だからということだったので、一案として申し上げた」と述べた。「発言の撤回は」と尋ねられると、「一案ということ」と繰り返した〉(前掲「朝日新聞デジタル」)。

17日に森氏は、小池氏の発言について〈都内で記者団に「きわめて無責任なことだ」と述べた〉(前掲「朝日新聞デジタル」)。森氏は小池氏の不規則発言が外交問題に発展することを懸念したのであろう。

森氏の懸念が的中し、小池発言を駐日ロシア大使館が問題にし18日にツイッターでこうつぶやいた。