就任後、たったひと月で法相を辞任した曺国氏(YONHAP NEWS/アフロ)

法相の指名・辞任をめぐって文在寅(ムンジェイン)政権を窮地に陥れた「曺国(チョグク)スキャンダル」は、韓国では極めて見慣れた風景である。しかしこのデジャビュ(既視感)はどうやら筆者だけのようで、韓国人たちはまるで初めてのことのように大騒ぎしている。このすれ違いは過去もそうだった。このすれ違いがある限り「曺国型スキャンダル」は今後も韓国で繰り返されるに違いない。

今回の疑惑の中身は、周知のように娘の大学不正入学とファンド投資をめぐる不正財テク疑惑である。そしてこれまで伝えられたマスコミ報道や検察の捜査で見る限り、陰の主役は、業務上横領などで逮捕された曺国の夫人である。夫はその疑惑行為を黙認ないし幇助していたといったところか。

政治的にはもちろん、文在寅の最側近で有力後継者として将来を嘱望され、正面切ってカッコよく平等・公正・正義を語ることで人気だったイケメンの左翼知識人の偽善が暴露され、結局、失脚するという男社会の話だ。だが、事件の核心は、曺国夫人への疑惑追及にある。そのため夫は国会聴聞会や記者会見で「知らない」「わからない」を連発していたが、本人としては「女房がやったこと」であり「女房に任せていた」といった言い訳がのどにまで出かかっていたに違いない。

しかし、それを言ったのでは男がすたるし、すべて妻のせいにしては夫としての家庭管理能力が問われる。韓国人は年齢を重ねても家庭では同床を続けるので、日本人に比べるとはるかに夫婦の一体感は強い。だから結局、夫も逃げられないことが多いのだが。

今回の曺国スキャンダルで筆者はデジャビュとして、権力疑惑で夫人が活躍した過去の3つの印象的な事件を思い出した。