なかぞら・まな 1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

金融安定理事会(FSB)は金融システムの安定化を協議する国際的な組織だ。その傘下の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、投資家・企業それぞれに対し、気候変動によってその事業がいかなる影響を受けるのかを分析し、開示することを求めている。

しかし、そうしたシナリオ分析は、いざ具体的に着手しようとすると、すぐに難しさにぶち当たる。

台風がどの程度の暴風雨をもたらすと考えるのが適当か、どこまでの浸水を予測しておけば適当か。平常時には考えられないレベルの想定を自らの事業のマテリアリティ(重要性)として認識し、どういう対策が適切かを書けというわけである。企業としては、保守的な予測をすればするほど、より過剰な資本が必要になってしまう。

そのため、TCFDと投資家の両方のお眼鏡にかなうシナリオ分析にするには、どのあたりに着地させればよいのか、迷うのは無理からぬことに思える。