「FOREVER21 従業員の皆様へ」と題された9月25日付の通知書

2009年春、東京・原宿に初上陸した米ファストファッションブランド「フォーエバー21」。「黒船の襲来」と恐れられたこのブランドが、10年であっけない幕引きを迎えることとなった。米国本社の経営破綻に伴い、10月31日をもって日本から完全撤退するのだ。

米国のフォーエバー21は、オーナー色の強い非上場企業。その日本法人として国内14店舗と直営オンラインショップを展開する「合同会社 FOREVER21 JAPAN RETAIL」は、運営形態の詳細がベールで覆われてきた。

だが、今回、複数の従業員や業界関係者から証言を得ることができた。そこで、浮き彫りになったのは、過酷な労働環境の実態やマネジメント能力の乏しさだ。

従業員約700人を一斉解雇

「ニュースでフォーエバーの破産申請について報道されていますが、現在、すぐにお店を閉店することなどはなく、通常通り営業をしていくことになっています。皆さんにも不安を与えてしまい、申し訳ございません」――。

米国のフォーエバー21の破産申請報道が錯綜した今年8月末、日本の従業員のもとには店長を通じてこのような内容のメッセージがLINEで送られてきた。

が、それから1カ月も経っていない9月25日。突如として日本法人の代表社員から通告されたのが、10月末での日本事業撤退とパート・アルバイトを含む従業員約700人の一斉解雇だった(残務処理を行う10人程度の従業員を除く)。

東洋経済は「FOREVER21 従業員の皆様へ」と題された通知書を入手。そこには、「原則として10月末日を退職日とする解雇予告の通知をさせていただきます」と書かれている。

通知書では、消化できなかった有給休暇を一定額で買い取る方針を示しているものの、突然の会社都合での雇用契約解除に対する補償金は一切提示されていない。

労働基準法は従業員を解雇する場合、30日以上前の予告を義務づけており、法律上は今回の解雇通告に瑕疵はない。とはいえ、12月のボーナス支給も見込んで生計を立てていた多くの従業員にとって、およそ1カ月後には定職も収入も失うことを知らされた衝撃は計り知れないだろう。

解雇される従業員への金銭的補償の有無などはどうなっているのか。日本法人に問い合わせたところ、「同業他社に紹介するなど再就職の支援を行う予定」との回答にとどまり、金銭的補償に関しての具体的言及はなかった。

もともと、フォーエバーの店舗従業員の労働条件は過酷なものだった。正社員は50~60人程度。フルタイム勤務の従業員でもその大半は、勤続年数の長さにかかわらず、雇用期限が決められた契約社員だったようだ。

5年以上フルタイムで働く複数の契約社員からは、「時給は毎年十円~数十円ずつしか上がらず、手取りは月20万円に届かない。会社側から無期雇用への転換の話を持ち出されたことは一度もなかった」との声があがる。

待遇への不満などから、現場の従業員の退職は後を絶たなかった。「店舗では、頻繁に採用面接を行っていた」(関東圏で働く従業員)。慢性的な人手不足の中、過労が原因で発症した病気により1週間有休を取得した従業員が、その“罰”として時給を100円下げられたケースもあったという。

こうした労働環境は、米国をはじめ他国のフォーエバーの店舗でも同様だったのかは判然としない。ただ、補償をめぐる日本法人の対応次第で、従業員が加盟する労働組合が損害賠償などを求めて訴訟に踏み切る可能性もある。

2010年4月、銀座に出店した際のセレモニーの様子

ずさんな店舗運営、常に在庫過多だった

経営破綻した米国のフォーエバー21は、韓国系米国人のドン・チャン氏が1984年に創業。トレンドを取り入れた商品投入の早さと低価格を武器に成長を遂げたものの、今年9月に日本の民事再生法に相当する連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請。アイルランド発のファストファッション・プライマークをはじめ新興勢力が台頭して価格競争が激化する中、世界各国の一等地に出店を続けたことなどが裏目に出て、家賃などの固定費が利益を圧迫したとみられる。