わたなべ・ひでかつ 1990年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所入社。95年よりヘルスケアを担当。2000年に興銀証券に移る。シニアアナリスト兼務。18年より中央大学大学院客員教授。15〜17年、日経アナリストランキングの企業アナリスト総合部門で連続1位獲得。(撮影:今井康一)

患者はどこに行けばいい? 運不運の医療からの脱却を

先天性疾患の治療も含め13回の入院と11回の手術経験を持つヘルスケア分野のトップアナリストに、これまでの医療制度改革の評価と残された課題、その解決策を聞いた。

患者目線の医療改革
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──医療制度論議での論者の立場明確化というのは新機軸ですね。

何事も、当事者意識を持つこと、想像力を働かせることが大切と考えています。医療の当事者には、患者、医師、政策立案者、健康で医療保険料を負担するだけの人などがいます。治療はエビデンス(科学的根拠)に基づいて行われますが、患者によって効果は異なることがある。人生経験などを踏まえ、どういう立場での発言かを示すべきとはずっと思っていました。

──4象限図はわかりやすい。

縦軸に所得の高低、横軸に健康状態をとった図は、かなり前から講演などで使っていました。高所得で健康な人は「重税感」、低所得で健康は「ノンポリ」=無関心、高所得で病弱は「高級病室」、低所得で病弱は「社会的弱者」。1人が1つとは限らず、私はノンポリ以外を経験しています。また、健康状態と医療経験の有無のマトリックスも立場の明示に役立ちます。

本書では、混合診療禁止という今の制度を支持していますが、重篤ながん患者を身内に抱えるようになれば、今の制度は理不尽と感じるのかもしれない、と書いたところ、医療関係者から「潔い」というコメントをもらいました。