キーロフでの講義の後、私たちが向かったのは、キーロフから南へ車で4時間ほどの所に位置するヨシュカル・オラだ。この街の名を聞いてロシアのどこにあるか言い当てられる人は、よほどのロシア通だろう。

ヨシュカル・オラはボルガ川中流域にあるロシア連邦マリ・エル共和国の首都である。ロシア連邦は83の構成主体からなる連邦国家だ。このうちロシア民族以外の基幹民族から構成される共和国が22ある。マリ・エル共和国は、フィン・ウゴル語派のマリ語を話すマリ人が主な住民だ。「エル」はマリ語で「国」、「マリ・エル」は「マリ人の国」という意味になる。

この地は古くからスラブ族とテュルク族の争い、キリスト教とイスラム教の争いなど民族・宗教対立が激しかったが、1552年にイヴァン雷帝がモスクワ大公国に編入。1920年にソビエト連邦ロシア共和国マリ自治州となる。