「今までのやり方を続けている限り、野村は現状から脱却できない」。今年4月の投資家向け説明会で野村ホールディングス(HD)の永井浩二CEOはこう切り出した。

1004億円の最終赤字、東証市場改革の情報漏洩問題など、2019年度は野村にとって波乱のスタートとなった。また、これまで野村を支えてきた国内営業部門にも陰りが出てきている。「われわれのメガトレンド(外部環境の変化)への対応は体制整備、スピード感ともに十分ではなかった」(永井CEO)と振り返る。

そこで打ち出したのが異業種との提携や営業体制の改革だ。今夏相次いだ発表からは、攻勢に転じる戦略の全貌が見えてきた。

LINEと組む意味は?

8月下旬、野村HDがネット大手のLINEと提携して準備を進めてきたLINE証券が始動した。さらにその6日後にはHD傘下の野村証券が島根県の有力地銀、山陰合同銀行と提携することで基本合意した。

野村は「若い顧客層の拡大」を課題と位置づけている。LINE証券の記者会見で、野村HDの池田肇・未来共創カンパニー長が繰り返し強調したのも、LINEが持つ「資産形成世代との接点」だった。LINEが抱える8100万人の月間アクティブユーザーのうち、7割を占める15〜49歳を資産形成世代と位置づける。