週刊東洋経済 2019年11/2号
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日本航空(JAL)による羽田─伊丹─福岡便、羽田─千歳便の就航(1951年)が、戦後初となる国内定期旅客運航だ。対する新幹線は64年の東京─新大阪間を嚆矢に北海道から鹿児島まで路線網を広げ、航空機からシェアを奪っている。

記事下の地図の円グラフは新幹線を中心とした、主要区間における鉄道と航空の年間利用者数の比較だ。新幹線で直結しない東京─札幌間、新幹線では所要時間が約5時間となる東京─福岡間は航空のシェアが高いが、それ以外の多くの区間で新幹線が航空を上回る。

かつて東京と金沢を結ぶ空路は利用者の多い航空路線の上位に入っていたが、2015年に北陸新幹線が金沢まで延伸すると、順位を大きく下げた。現在の「利用者の多い航空路線」上位20区間(記事下図表)を見ると、1位の羽田─新千歳間を筆頭に、東京と新幹線で直結していないか、または新幹線では所要時間が長くなる長距離路線がずらりと並ぶ。

今後は北陸新幹線が敦賀、新大阪に延伸し、長崎新幹線開業や北海道新幹線の札幌延伸も控える。またリニア中央新幹線が東京(品川)と名古屋、さらに新大阪まで結ぶと、リニアと新幹線を乗り継ぐことで、鉄道移動の所要時間がさらに短縮される。隣国の韓国では、国内交通の大動脈であるソウル─釜山(プサン)間に高速鉄道が開通したことで、多くの航空会社が国内線から国際線に経営の軸足を移した。リニア開業を機に、航空会社はネットワーク戦略の大幅な見直しを迫られるかもしれない。

新たな新幹線は必要か

四国、山陰地方など新幹線がないエリアでは、誘致の動きもみられる。しかし、新幹線の年間利用者数を見ると、60〜80年代に開業した東海道、東北、山陽新幹線と比べ、2000年代以降に開業した北陸、九州、北海道新幹線は利用者が段違いに少ない。新たな新幹線計画でも、利用者数に比べ、巨額の建設費がかかることを考えると、野放図に造ることもできない。

新幹線網の拡大に対して航空が防戦一方かというと、そんなことはない。東日本大震災などの特殊要因を除けば、80年代以降、旅客数を堅調に伸ばしている。新規航空会社の参入、新規就航路線の増加、航空運賃のネット割引といった積極策が奏功している。その点では、新幹線とエアラインが互いに学ぶべき点は多いのである。

(本誌:大坂直樹、森田宗一郎)