新たな調査で実態把握はどこまで進むのか。
かんぽ生命の不適切販売をめぐって、金融庁が郵便局への抜き打ち検査を行い、第三者委員会が郵便局員への個別聞き取り準備を進めている中、かんぽ生命保険も募集人(保険販売業務の代行をかんぽから受託している郵便局員)の調査を10月中旬から始めた。
調査対象は、9月末までに発覚した18万3000件の不適切営業(特定事案)のうち、法令違反や社内ルール違反の可能性がある6327件と、その後に発覚した不適切営業に関わった郵便局員だ。
かんぽ生命のコンプライアンス統括部は、調査対象がいる各郵便局に、「調査協力に関するお知らせ」「申込受理状況調査への回答(依頼)」「申込受理状況調査用紙(申込受理者用)」と題した文書や返信用封筒(レターパック)の入った封書を送付している。本誌はこれらの資料を独自入手した。
調査のポイントは4つ
内部資料を順番に見ていこう。まず、「調査協力に関するお知らせ」では4項目を記している。以下の青囲みが資料の原文だ。

2の記述が長いが、要は、「正直に自己申告すればかんぽ生命による処分の軽減や免除がある」というもの。ただし、違反内容によっては、正直に自己申告をしても処分の減免措置が受けられないことも記している。
となると、郵便局員がどれだけ正直に申告するのか疑わしい。だが、ある局員によれば、「かんぽ生命は特定事案の郵便局員を把握している。申告しなくても処分される可能性が高いので、『処分の軽減や免除がありうる』と言われれば、皆、競って自己申告をするに違いない」という。
3は、本調査があくまでも「協力要請」であり、局員に自白(原文は自認)を強制するものではないことを宣言している。これを強調しているのは、JP労組からの求めに応じたためだ。