ささき・とおる 2015年6月から現職。03年4月からJPモルガン・チェース銀行でFXストラテジストとして金融市場を調査・分析。その前は日本銀行に勤務、調査統計局などを経て、国際局(当時)為替課で為替市場介入を担当、ニューヨークで米国金融市場分析も担当した。(撮影:今 祥雄)

日本企業による8月のネットの対外直接投資は2.0兆円(対外直接投資2.3兆円、対内直接投資0.3兆円)となり、昨年11月以来の高水準となった。

2019年のネット対外直接投資は、1月が大型案件という特殊要因によって7兆円に上ったこともあって、年初来合計ですでに17.8兆円に達し、18年通年の合計額(14.7兆円)を大きく上回っている。2〜8月の月平均で見ても1.5兆円となっており、1年で18兆円ペースは過去最大水準である。

日本企業は依然としてバランスシートに220兆円以上の「現金・預金」を抱えており、ここ数年を見ても引き続き増加傾向にある。

国内に魅力的な投資案件が少なく、銀行に預けておいても金利はほとんどゼロに等しい。それどころか今後は、マイナス金利政策の下で口座にマイナス金利が適用されるか、口座維持手数料さえ取られかねない状況である。日本企業による対外直接投資は高水準を維持する可能性が高いだろう。