磯崎功典(いそざき・よしのり)/1953年生まれ。慶応大学経済学部卒業。77年キリンビール入社。2010年キリンホールディングス常務取締役、12年キリンビール社長。15年から現職
少子高齢化を背景に国内ビール市場の縮小傾向が止まらない中、アサヒグループホールディングスはビール事業に経営資源を集中させて海外展開を加速する戦略を打ち出している。対するキリンホールディングス(HD)は、それとは正反対の戦略を掲げる。
(注)本記事は『週刊東洋経済』2019年10月19日号に掲載されたインタビュー記事のロング版です。

 

——医薬品と食品をつなぐ健康領域の立ち上げ・強化を打ち出しています。

ビール事業がかつてのように毎年のように伸び、グループ内の協和キリンが手がける医薬事業も未来永劫成長し続けるのであれば、新規事業などいらない。ただ中長期的に見れば、人口減少・少子高齢化の中でビールの消費量は増えない。医薬品も、政府の医療費抑制政策の中で薬価引き下げの逆風は強まり続けるだろう。会社の持続的な成長のことを考えると、心配で夜も眠れなくなる。

多くの人は、いつかは病気で死ぬ。だが、病気で苦しむ期間はなるべく短い方がいい。社会の高齢化が進めば、健康寿命を延伸するニーズは高まるはずだ。ここにビジネスチャンスがあると踏んだ。それが、単なる食品でも医薬品でもない、医と食をつなぐ健康領域。グループ内に製薬会社も食品会社も持つからこそ、科学的な証拠を持って消費者に訴求することができる。

——その新しい領域の立ち上げはスピーディに軌道に乗せられるのでしょうか。

あまり大ぼらを吹くのもよくない。「グループの業績に貢献してくるまでにあと10年はかかる」と言っている。本当はもっとスピーディーに立ち上げていきたい。今、事業は少し軌道に乗ってきたところだ。

——化粧品メーカー大手のファンケルを約1300億円で持ち分会社化しました。