奴隷船の世界史(布留川正博 著/岩波新書/860円+税/234ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] ふるがわ・まさひろ/1950年奈良県生まれ。73年大阪大学基礎工学部卒業。民間企業勤務を経て、同志社大学大学院経済学研究科博士後期課程退学。同志社大学経済学部助手、専任講師、助教授を経て、現在同志社大学経済学部教授。専攻は大西洋奴隷貿易史、近代奴隷制史。

西洋近代における奴隷制の全体像を把握できる一冊だ。奴隷貿易の誕生から奴隷制廃止運動まで網羅しているが、本書の白眉は奴隷船にまつわる詳細なデータを提示することで、近代社会の実態を浮き彫りにしたところだろう。

奴隷船はその名のとおり、奴隷を運ぶ船であり、映画や小説で過酷な環境が描かれているように「移動する監獄」であった。

毎日16時間以上、鎖につながれ身動きできずに板の上に寝かされ、2カ月以上も大西洋上を航海する。健康を損なうと「商品」価値が落ちるので、強制的に1日2回食事を与えられ、毎日1時間は甲板上で踊らされた。