(Ushico / PIXTA)

多くの人が悩み、大きな関心を集める腰痛、肩や首のこり・痛み。あまりに日常的すぎて「我慢できなくはない」「付き合っていくしかない」と思ってやり過ごしている人も多いのではないだろうか。

しかし、諦めてしまっては何も変わらない。まずは敵を知ることが第一である。そして日常生活におけるちょっとした意識づけと体操を行うようにすることで、あなたは日々の苦しみから解放されるかもしれない。

8割を超える人が一生のうちに一度は経験するといわれる腰痛。4人に1人が腰痛のために仕事や家事を休んだことがあるという調査結果もあり、ビジネスパーソンにとって重大な健康問題の1つといえるだろう。

「世界の疾病負担研究」で出されている、生活に支障を来す年数(Years lived with disability:YLDs)という指標では、約30年前も最近の結果も腰痛が第1位。しかも数値は50%以上増加している。

この間の医学の進歩にもかかわらず、結果が変わっていないどころかむしろ悪くなっているということは、腰痛の治療や予防対策が必ずしもうまくいっていないことを端的に表しているといえる。

「腰痛があるときは安静にする、は間違い」と強調するのは、『これだけ体操』を考案した松平浩医師。腰痛の基礎知識と、予防・改善のためにできるセルフマネジメントについて教えてもらった。

東京大学医学部附属病院22世紀医療センター 運動器疼痛メディカルリサーチ& マネジメント講座特任教授 松平 浩(まつだいら・こう)1992年順天堂大学医学部卒業後、東京大学医学部整形外科教室に入局。2009年関東労災病院勤労者筋・骨格系疾患研究センターセンター長を経て、2016年から現職。今夏、自身のコンセプト普及のためBipoji Labを開設。

労働損失が大きい腰痛

労働の生産性と健康状態の関連を調べた研究によると、医療費(医療費+薬剤費)の大きい病気と、生産性低下によるコストの大きい病気は順位が異なっているが、医療費コストと生産性コストの合計でみると「肩こり・腰痛」が第1位となっている。

この生産性低下のコストはプレゼンティーイズム(Presenteeism)とアブセンティーイズム(Absenteeism)の合計でみているのだが、近年、とくにプレゼンティーイズムという用語が注目されてきている。

これは病気・体調不良による欠勤を意味するアブセンティーイズムに対する概念で、出勤はしているものの、何らかの病気や体調不良があるために職務遂行能力や労働生産性が低下している状態のことをいう。