慶応義塾大学経済学部教授 太田聰一(おおた・そういち)1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

日本経済にやや陰りが見え始めている。9月の日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数が3四半期連続で悪化し、約6年ぶりの低水準となった。大企業非製造業の同指数も2四半期ぶりに悪化した。米中貿易摩擦やブレグジットなど、世界で問題が山積する中で、日本では消費税率の引き上げが行われ、先行き不透明感が高まっている。

雇用の実態に目を転じると、8月の有効求人倍率は前月と同じ1.59倍と人手不足が続くが、数字は昨年末よりもやや低下した。同時に景気の先行系列として採用される新規求人数が前年同月比で6%近く減少しており、製造業部門でとりわけ顕著に見られる。

したがって、今後は徐々に人手不足が緩和されていく公算が大きい。本格的に雇用が失われる事態になるかはわからないが、労働市場のショック耐性の変化について、雇用保障と労働市場の効率性という2つの観点から見てみたい。