開発途上国の農村部に住む貧困世帯はエネルギー源を、木材、牛ふん、農業残渣(ざんさ)などのバイオマスや、ろうそく、灯油などに頼っている。こうした燃料は安価ではあるものの、室内の空気を汚染し、健康被害(呼吸器や目の疾患、燃料爆発によるやけど)を引き起こしやすい。

また貧困世帯の子どもは、夜間に勉強しようにも、ろうそくや灯油では十分な明るさを確保できないうえ、煤煙(ばいえん)の影響で勉強がはかどらない。

貧困世帯が適切なエネルギーを安く簡単に入手できるようになれば、親の貧困が子どもにそのまま引き継がれる「負の連鎖」を断ち切ることができるかもしれない。

そうした点で、途上国の無電化地域では送電線によらない太陽光パネルを利用した携帯型のソーラーランタン(SL)が注目され、その利用が広がっている。

SLによって、子どもが夜に勉強でき成績が上昇し、健康状態も改善できれば、社会的な意義は大きい。そうした好影響が見られるのならば、SLの購入に補助金を与えるなどの方策も考えられる。

しかしSLの効果を厳密に示すことは、通常思われているほど簡単ではない。例えば、SLを購入する世帯は、もともと、親が子どもの教育や健康に気を配っているのかもしれない。その場合、子どもの成績や健康状態がよいのはSLを利用しているからなのか、それとも子どもの状態によく気を配る家庭がたまたまSLを利用しているだけなのか。明確に区別することはできない。