2020年に成田空港に導入されるNECの顔認証装置。動画による顔認証の精度の高さが評価された(撮影:今井康一)

厳しいセキュリティーが求められる時代を迎え、生体認証、とりわけ顔認証技術の進化が著しい。中でも、世界各地の空港に採用されるなど、NEC(本社・東京都港区)の技術力が抜きんでている。折しも10月3日、NECは「世界の顔認証技術で1位を獲得した」と発表した。その顔認証技術はどのように開発されたのか。JR東日本・東急線の武蔵小杉駅に近い同社の玉川事業場(川崎市中原区)に、顔認証技術開発の牽引役で、2019年、史上最年少でNECフェローに就任した今岡仁さんを訪ね、じっくりと話を聞くことができた。

山根 顔認証技術で1位を獲得したそうですね。

今岡 今回は5回目の第1位獲得なんですよ。この評価は、米国国立標準技術研究所という世界的権威のある機関が行った「最新の顔認証技術のベンチマークテスト」によるものなんです。1200万人分の静止画の認証エラー率が0.5%で、これは他社を大きく引き離すという性能評価をいただきました。同研究所は17年に動画の顔認証ベンチマークテストを行っていますが、NECはそれも1位でした。

史上最年少でNECフェローに就任した今岡仁さん。NECの顔認証技術開発を牽引(撮影:山根事務所)

山根 顔認証技術が世界一と聞いても、どうすごいのかよくわからないんですが。

今岡 例えば、手元にある1枚の写真と同じ顔を、2億3000万人分の顔写真の中から検索する場合でも、簡単に見つかります。

山根 簡単って、どれくらいの時間がかかるんですか。

今岡 1秒。

山根 えっ、たったの1秒⁉スーパーコンピューターを使うんですか。

今岡 いや、特殊なコンピューターは不要です。市販されているCPU処理能力が2.2ギガヘルツのパソコンで十分です。

山根 その能力のパソコン、中古なら1万円以下で買えてしまう。

今岡 それで十分。特別大きな装置なしで使えるのも、NECの顔認証が世界に普及できた理由です。米ニューヨークなどいくつかの空港の出入国管理で採用されています。

山根 非常に簡単に顔認証を行えるようコンピュータープログラムを徹底してそぎ落とした?