米カトリックの中でも、政治的・社会的にさまざまな考え方がある(写真と本文とは関係ありません)(AP/アフロ)

9月14日号の本欄で米国保守主義の変容を論じ、米ノートルダム大学教授パトリック・デニーンの著書『なぜ自由主義は失敗したか』(邦訳未刊)が新たな潮流を示す本の1つであること、米国建国以来の個人主義的自由主義が否定され始めたことを紹介した。

仮にこの流れが定着すると、米国はこれまでとはかなり違う国家になっていく。この本が反響を呼んだ背景をさらに考えてみたい。そこには、新たな宗教右派運動とでも呼ぶべき動きがのぞく。

これまで宗教右派といえば、プロテスタントの福音派(エバンジェリカル)が政治化した動きを指した。これに対し、デニーンの自由主義批判の背景となっているのは、米カトリック教会内での知識人闘争だ。これまで小さな勢力だったグループが、新たな政治・経済・社会状況、すなわちトランプ現象の中で影響力を広げている。