9月20日に開かれた全世代型社会保障検討会議で発言する安倍首相(右手前から2人目)(時事)

10月1日に消費税率が10%に引き上げられた。2014年4月以来、5年半ぶりの増税である。14年11月、16年6月と2度の延期の末の一件であった。前回の増税が個人消費の冷え込みを招いたことに衝撃を受けた政権は、長く追加増税を延期していた。そのうえ、今回は米中経済摩擦による中国経済の失速で世界経済が混沌とし始めていた。にもかかわらず、増税は断行されたのである。

この増税には2つの意義がある。1つは、過去の増税時と比べて、増税前の駆け込み需要が少なく、経済への短期的な影響は必ずしも大きくはないと思われていることである。2つ目は、政党政治の枠組みからみると、第2次以降の安倍晋三政権は、時間をかけながらも結局は野田佳彦内閣末期の社会保障と税の一体改革における「3党合意」を守ったことである。

現政権が短期で崩壊していたならば、こうなったかは疑わしい。仮に14年の5%から8%への増税時まで持ちこたえていたとしても、その後の経済低迷は1997年の3%から5%への増税時と同様、後継政権のトラウマとなり、増税というシナリオ自体が雲散霧消した可能性が高い。「3党合意」が守られる余地がなくなってしまっていたであろう。その一当事者である民主党はすでに消滅しているが、ほかの2党が与党であり続けたことが、結果として3党合意の順守につながっていったのである。

これを長い目でみるならば、09年以降の2度の政権交代を経て、日本政治は消費増税に伴う強力な反発を徐々に和らげてきたともいえる。軽減税率の導入に際してかなり迷走したにせよ、現政権は昨年からさまざまな準備を講じており、増税方針は一貫していた。情報システムの準備からみても、直前の急激な変更は困難となり、突発的かつ急激な経済変動や対外危機、自然災害さえなければ増税することは織り込み済みであった。