もりた・ちょうたろう 慶応義塾大学経済学部卒業、日興リサーチセンター、ドイツ証券などを経て、2013年から現職。日本の国債市場に30年近く関わる。グローバル経済、財政政策、金融政策の分析などマクロ的アプローチに特色。著書に『国債リスク 金利が上昇するとき』など。(撮影:谷川真紀子)

経済ポピュリズムとしての歯止めなき金融緩和に疑問

何年やっても効果が出ない金融政策。その原因は主流派経済学にあるのではないか──。市場サイドからの弾劾に経済学者はどう応えるか、応えられるのか。

経済学はどのように世界を歪めたのか 経済ポピュリズムの時代
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──静かな怒りが伝わってきます。

市場は社会において重要な役割を担っています。金利を通じて政策を見てきましたが、この10〜15年、量的金融緩和(QE)のような市場の機能を封殺する動きには大きな疑問を持ち続けてきました。

──主流派経済学の何が問題?

源流である新しい古典派は、抽象化に秀でたユダヤ系の人々が中心となって、社会を機械のような物理的構造と考え、精緻な数理モデルを構築した。その有効性は否定しませんが、あまりに現実と乖離してしまった。また、フリードマン流の徹底的な自由信奉の経済思想は政府の介入である財政政策を排し、経済政策としては貨幣量のコントロールを重視しました。ところが、もう1つの構成勢力であるニューケインジアンは、好不況には金融政策が有効という立場。貨幣中立論と金融政策万能論が同居するという矛盾がある。1970年代来のインフレが終息して影響力は落ちたのですが、日本のバブルが崩壊して……