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静岡の高級茶が消滅危機 販売店も農家も次々廃業

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若い世代の茶離れが進む中、原発事故が直撃。日本一の茶どころの苦境と打開策。

本誌:岡田広行

「刈り取った茶葉の販売収入から肥料や農薬の代金を差し引くと、自分たちの人件費も賄えない。ほかの農家と共同で運営している茶工場もぎりぎりの状態だ」

大井川の上流域に位置し、静岡県内でも屈指の高級茶の産地として知られる川根本町。茶の農家で、刈り取った茶葉(生葉)を蒸してから、もんで乾かして製造する「荒茶」(半製品)の製造工場も営む中野光治さん(71)が厳しい表情を見せた。

静岡市清水区の茶農家、山本孝さん(57)も頭を抱えている。茶の新芽を摘んだ「一番茶」の荒茶価格が年々下落しているためで、「こんな値段では採算が合わず、泣きたくなる」(山本さん)。

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県内各地の生産者・農業協同組合と販売者(茶商)が茶の売買価格を決めて取引する「静岡茶市場」(静岡市)。「例年と比べて一番茶の値下がりが大きい」。そんな声が取引フロアのあちこちから聞こえた。

一番茶の取引開始から20日しか経っていない5月9日、産地によっては荒茶価格1キログラム当たり1000円強という「信じがたい安値」(ある仲買人)がついた。「数年前までなら、どんなに安くても2000円以上はした。こんな値段では肥料代も賄えない」と生産農家からは悲鳴が上がる。

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