大村氏は半導体ビジネスの展開を独特な例え方で説明した(撮影:今祥雄)
昨年7月、日本の半導体業界で話題を呼ぶ人事がソニーから発表された。日系の車載半導体大手ルネサスエレクトロニクスで自動車事業のトップを務めた大村隆司氏が、ソニー本体の執行役員に就任したからだ。役職は半導体子会社・ソニーセミコンダクタソリューションズのナンバー2となる、半導体担当常務補佐。今年5月から同社副社長として、車載半導体や産業向けのIoTソリューションなどを管掌している。
スマートフォンのカメラに搭載されるCMOSセンサーで圧倒的なシェアを誇るソニーだが、目下、次世代技術として攻勢をかけている領域が車載半導体だ。
ソニーの半導体センサーは、自動運転につながる先進運転支援システム(ADAS)の要として需要が高まっており、自動運転に必要な「認知」→「判断」→「制御」のうち、夜間でも周囲を高精度に把握できる認知分野で使われている。トヨタ自動車の「レクサス」や「カローラ」ほか、9月に発売された日産の新型「スカイライン」などに続々と搭載され始めており、自動車メーカーからの引き合いも強い。
ただ、次世代車をめぐって海外の半導体大手も力を入れており、競争は熾烈だ。ソニーが将来の自動運転時代に生き残る勝算とは。大村氏を直撃した。
(注)本記事は10月5日号第2特集「日の丸半導体の生きる道」の関連インタビューです

 

――以前はルネサスで車載半導体のトップを務めていました。なぜソニーに移ったのですか?

やはり、半導体を売るだけでは面白くないじゃないですか。

私はもともと半導体の人間ではなく、システム屋なので。ただ、リーマンショック後にルネサスの業績が厳しくなった際、車載半導体の担当に任命された。構造改革の結果、業績がV字回復したこともあり、自分の役割はひとまず達成したという感じがあった。

新たなチャレンジをしたいと思い、(ルネサスを退職して)さまざま企業からお声掛けをいただいたが、半導体の中でもソリューションを考える仕事をやらせてもらえるということで、ソニーとご縁を結ぶことになった。だから現在も、車載半導体だけではなく、IoT(モノのインターネット)や産業向けなどのソリューションを包括的に見ている。

転職してからちょうど1年が経つが、最初の半年は、ソニーを知り、私のことを知ってもらうために毎晩毎晩(社員と)飲んでいた。そして後半は、いろいろな自動車メーカーに足を運んで、ソニーがどのようなソリューションを提供できるか、という話をしていた。

――「ソリューション」をより具体的に言うと。

レストランの例え話をしましょう。有名な産地で作られた美味しいニンジンを「どうぞお食べください」と言われても、お客様からすると「どう料理するのが一番美味しいですか?」と聞きたくなる。