なかぞら・まな 1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

9月14日にサウジアラビアのアブカイク製油所がドローン攻撃を受け、石油生産量が数週間にわたり半減した。もっとも、内外の石油備蓄が豊富で、サウジアラビア産石油の供給は遅延なく継続されており、当面の需給には大きな影響は生じない。

しかし、アブカイク製油所は処理能力が日量700万バレルと世界最大級の施設で、サウジアラビアにとって重要な役割を担っている。主力のアブカイクが稼働不能となれば、サウジアラビアの産油活動が休止に追い込まれ、輸出も備蓄取り崩しに頼らざるをえなくなる。仮に長期操業停止に陥れば、IEA(国際エネルギー機関)がOECD(経済協力開発機構)諸国による協調的在庫取り崩しを促すことにもなりかねない。

今回の事件は、湾岸の地政学的緊張がエスカレートし、新たな領域に入ったことを示している。サウジアラビアの供給体制の脆弱性と攻撃が繰り返されるリスクを考慮するなら、原油市況に関わる地政学的なリスクプレミアム(リスクに応じた上乗せ分)の見直しが予想される。