アドバネクスの臨時株主総会が東京・千代田区内で行われた(記者撮影)f

9月25日。アドバネクスの臨時株主総会が東京・千代田区で開催された。招集したのはアドバネクスの筆頭株主、AAAの朝田英太郎代表である。

「週刊東洋経済プラス」でこれまで報じてきたとおり、アドバネクスの2018年の定時株主総会で、AAAの朝田代表が会社の取締役選任案に修正動議。創業家の加藤雄一会長、武田栄一取締役、社外取締役の尾関友保氏や米倉誠一郎氏の4人が事実上解任された(加藤氏以下の肩書は当時)。

2018年の総会では朝田代表が用意した投票用紙で修正動議を採決。総会会場を本社会議室に移したうえ、議長の解任動議をし、新たな議長を選任した直後に修正動議の可決を宣言して閉会した。

加藤元会長は、「修正動議の可決には問題があるから総会決議は存在せず、自らは取締役の地位にある」と主張し東京地方裁判所に提訴。3月の1審判決は、修正動議で可決された新たな社外取締役3人は過半数に満たなかったとする一方、加藤元会長ら4人も過半数に満たなかったとした。

原告の加藤元会長らも被告のアドバネクスも判決を不服として東京高等裁判所に控訴。8月と9月の2回の審議で結審。10月17日に2審判決が言い渡される予定になっている。

「瑕疵の連鎖」を断ち切るための臨時総会

もし加藤元会長らのアドバネクス取締役としての地位が認められれば、2019年の総会は加藤氏らが出席していない取締役会で開催を決議しているから、法的には「瑕疵」があることになる。その「瑕疵」のある取締役会決議で開催された総会で選ばれた現経営陣による取締役会決議も「瑕疵」があることになる。これを法的には「瑕疵の連鎖」というのだそうだ。

この瑕疵の連鎖を法的に避けるには、ある弁護士によれば、取締役会以外が総会を招集すれば良いのだそうだ。筆頭株主AAAの朝田代表が臨時株主総会を招集したのはこのためだ。臨時総会の決議事項は6月25日に定時株主総会で決議した事項の追認と、2審判決で加藤元会長らの取締役としての地位が認められても現経営陣を選任するという条件付きの決議事項だ。

9月27日にアドバネクスが提出した「臨時報告書」によれば、取締役の追認・条件付き選任とも、賛成率は下記の通りである。6月の定時株主総会に比べると、賛成率は大きく低下している。柴野恒雄社長についてはわずか3カ月で25%ポイントも低下した。

機関投資家は「不祥事企業」の位置付け

機関投資家の日本生命相互保険は6月の定時総会で会社提案の取締役選任案の8人のうち株主提案と重複しない5人に反対する一方で、加藤元会長らの株主提案の取締役案のすべてに賛成していた。日生は、株主提案に賛成した理由として以下の記述を「議決権行使結果」として公表している。

「2018年6月の株主総会において一部株主により可決された取締役体制をベースとした会社提案の取締役候補者は、一部株主からの独立および選任プロセスの透明性に懸念が持たれる状況にあった。加えて、動議の可決により経営陣の急な交代を強いられた状況下で、業績にも悪影響が見受けられたことから、前回総会以前の経営陣(=株主提案の取締役選任案)による継続的な取組が当社の企業価値向上に寄与すると判断し、株主提案に賛成した」

一方で、会社提案の8人中5人に反対した理由は「不祥事等」とのみ記載している。日生において「不祥事等」とは以下の状況を指す。

「法令違反や不正会計等の不祥事が発生し、かつ社会的な影響が大きい、または企業の利益に重大な影響を及ぼしており、原因究明や社内処分等を通じた責任の明確化、再 発防止策の策定・履行等といった適切な対策が講じられておらず、問題の根本的な解決 が図られていないと判断される場合の当該責任のある取締役(または監査役)の選任議案等」

「経営陣の内紛等に端を発し、ガバナンス上の懸念が継続していると判断される場合の当該 懸念のある取締役(または監査役)の選任議案等」

アドバネクスの場合、上記の定義のうち後者に当たるとみられる。一方で日生系の投資運用会社、ニッセイアセットマネジメントはアドバネクスの会社提案に賛成、株主提案に反対していた。今回の臨時株主総会で機関投資家はどのような行動を取ったのだろうか。議決権結果の公表が待たれる。

詳報 臨時株主総会の一部始終

瑕疵の連鎖を避けるためという異例の臨時株主総会は、招集者の朝田氏の発言から始まった。以下は、その模様である(注:総会における各自の発言をそのまま文字に起こしたものであり、その内容の事実関係を確認したものではない)。

朝田 こんにちは。本総会の招集者であるAAA株式会社代表取締役の朝田英太郎でございます。本日はご多用のところご出席くださりまして誠にありがとうございます。それでは、ただ今より株式会社アドバネクス臨時株主総会を開会いたします。本総会の議長が選任されるまでのあいだ、本総会の招集者であるAAA株式会社の代表取締役である私が仮に議長を務めさせていただきます。まず本総会の議長を選任いたしたいと存じます。その候補者ですが、私から株式会社アドバネクスの柴野恒雄社長を推挙したいと思います。柴野恒雄氏が議長を務めることに賛成の株主様は拍手をお願いいたします。