夜景スポットとしても有名なコンビナート群がある三重県四日市市。四日市港から5キロメートルほど内陸の丘陵地帯に、66万平方メートルもの工場が広がる。スマートフォンやデータセンターの記憶媒体として欠かせないメモリー半導体「NAND型フラッシュメモリー」を造る東芝メモリの主力工場だ。1993年に稼働開始し、最新の第6棟までつねに最先端メモリーの開発から量産を一貫して担っており、フラッシュメモリーでは世界最大の工場だ。

メモリーの競争力のカギは、限られたスペースにいかに大量のデータを書き込めるかだ。そのためには、半導体デバイスの基板上に細かい線で回路を描いて機能を集積する微細化技術が欠かせない。回路線幅を狭めることでデータを保存する「セル」を大量に収容できる。

ただ微細化は電気的な干渉も起きやすく限界に近づいており、NANDでは新たにセルを上に積層化して収容場所を確保する「3次元(3D)化」が今の技術革新の焦点になっている。平屋建てから高層ビルにするイメージだ。

現在の最先端は第4世代と呼ばれる96層で、東芝メモリと韓国サムスン電子が激しく争っている。2015年に48層、17年に64層と“高層ビル”は短期間で一気に上に伸びたが、東芝メモリの大島成夫・SSD応用技術技師長は、「少なくともさらに3世代分くらいは積層化を進められる」と強気だ。

もっとも積層化には、セルの材料をずれないよう積み重ねたうえで各層に均一に穴を開けてシリコンなどを流し込み電気を通す高い技術が必要だ。つねに最先端の製造プロセスを採用する必要があり、半導体製造装置も材料も高価になってしまう。このため、多額の研究開発費や設備投資費を捻出し回収できなければ生き残れない。