「半導体事業は、ソニーの成長を牽引する重要な事業の一つであり(中略)保有し続けることが、ソニーの長期的な企業価値の向上に資するものであるとの結論に至りました」

9月中旬、ソニーは吉田憲一郎CEOの名義で出した書簡の中で、こう主張した。6月に米国のヘッジファンド、サードポイントが発表した投資家向けの公開書簡の中で、「半導体部門を分離、上場させ、ゲームや音楽などのエンタメ企業としての地位を築くべきだ」と要求したことに対し、明確にノーを突きつけた形だ。

実際、現在のソニーの半導体事業は、全社営業利益のうち2割弱を稼ぎ出す屋台骨だ。売上高の9割弱を占めるのは、光を電気信号に変える半導体、「CMOSイメージセンサー」。電子機器にとって、人間の網膜のような役割を果たし、自社製品を含むデジタルカメラやスマートフォン、セキュリティーカメラなどに広く搭載されている。市場シェアは5割超と断トツで、2位の韓国サムスン電子を大きく引き離す。日本の半導体メーカーの中では希有な存在だ。

1970年に「CCDイメージセンサー」の開発に着手して以来、50年近くイメージセンサーの研究開発を継続してきたソニー。その技術力は、「サムスンと比べても2年ほど先行している」(半導体に詳しいIHSマークイットの李根秀氏)といわれる。ソニーの技術の粋は、センサー部分とロジックICを貼り合わせて積層させる、職人芸に近いアナログ的な技術にある。サムスンも猛追するが、「人材を引き抜いたり、同じ製造装置を使っても同じものは作れない」(ソニー)。4カ所の製造拠点はすべて国内にあり、「取引先にすら、工場内は至る所が非公開」(ソニーと取引のある装置メーカー幹部)と厳重な情報管理を行っている。