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香港・台湾、連鎖する危機 現地ルポ|中国への絶望と抵抗

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大陸への不信からデモが過激化する香港。経済一体化が進めば、いずれ自由も奪われる。そのことへの恐怖は台湾社会にも広がる。

ゴミや身近な物でデモ隊が作った簡易バリケード

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交差点の前で盾を構えて整列する警察の機動隊。それと対峙しているデモの群衆の中から青年たちが広東語で叫び出した。「みんな下がれ、警察が突撃してくるぞ」。両腕を挙げて、後ろに下がるよう手を振るジェスチャーに従い、デモ隊は徐々に後退。およそ1分後、警察の突撃が始まった。逃げ遅れたデモ参加者が警棒でたたかれ、次々と地面に押さえつけられて拘束されていった。

9月上旬の金曜日、香港の繁華街である旺角(モンコック)の夜は騒然としていた。夕方から徐々に人々が集まり出し、20時すぎにはデモ隊が旺角警察署を取り囲んだ。「悪徳警察!」「くたばれ!」聞こえてくるのは警察を非難する声。20代のデモ参加者は本誌記者に「市民を守る警察が市民を攻撃することが許せない」と訴えた。

バリケードに火をつけて機動隊の突進を止めている(上)。暴徒化したデモ隊は地下鉄の駅構内の券売機を破壊(中左)。デモ隊を銃器で威嚇する機動隊員(中右)。鎮圧開始前に集結する機動隊員(下)

9月4日、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は事前収録したテレビ演説で市民の抗議活動の原因となった「逃亡犯条例」改正案を完全撤回すると表明した。犯罪者を中国本土に送還できるようにする内容で、共産党に批判的な人物が中国で処罰されることになる可能性が危惧された。3カ月にわたり、香港市民はデモなどで改正案の完全撤回を訴え、それが受け入れられた形となった。

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