「日本からの半導体材料の輸入が止まれば、韓国経済が壊滅する」。7月、日本の輸出管理強化に関するニュースが流れると、日韓両国に衝撃が走った。実際は禁輸ではなく管理強化にすぎないが、主要材料の1つであるレジストなどにおける日本の化学・材料メーカーの強さを示した形だ。

材料や製造装置では日本メーカーの優位が続いているが、半導体産業そのものも、かつては日本の「お家芸」だった。東芝、日立製作所、三菱電機、NECといった大手電機メーカーがそれぞれ半導体部門を抱え、世界シェアの上位に名を連ね、先端技術の開発を主導してきた。データセンターなどに欠かせないNAND型フラッシュメモリーを発明したのも東芝だ。

日本勢は1980年代の日米半導体摩擦で状況が一変した。それは親会社の電機メーカーの衰勢とも軌を一にしている。日本の技術を得た韓国サムスン電子が大きく飛躍し、受託製造(ファウンドリー)に特化した台湾TSMCが勃興。米インテルもCPU(中央演算処理装置)への集中が功を奏した。市場規模が拡大する中でこれらの企業が巨大化する一方、本体の一部門という意識から脱しきれない日本勢は思い切った策を講じられず苦戦を強いられた。それぞれ巨額の費用がかかる設計と製造を別会社が担う「ファブレス/ファウンドリー化」の流れからも完全に取り残された。