週刊東洋経済 2019年10/5号
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10月1日の国慶節(建国記念日)に、中国の習近平国家主席は共産党の最高幹部たちを従えて北京・天安門の望楼にのぼる。70年前のこの日、毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言した場所だ。

国慶節を平穏に迎えることは、中国指導部にとって最大の関心事の1つだった。米中貿易摩擦、逃亡犯引き渡し条例に端を発した香港の騒乱、さらに国内経済の深刻な減速──。それらが中国社会の不安定要因になるのを防ぐため、あらゆる努力を払ってきたのだ。

だが建国70周年は通過点にすぎない。2021年の共産党創立100周年を経て49年に迎える建国100周年こそ、中国指導部が見据える到達点だ。この段階までに、「社会主義現代化強国」となり、総合的な国力と影響力で国際社会をリードするとしている。

目指すところは、米国に代わる超大国になることだ。中国は30年までには経済規模で米国をしのぐとの見方が強く、その経済力を背景にして軍事や技術でも世界トップの座を狙うだろう。

しかし、中国が世界をリードする超大国になるには、不透明な要素があまりに多い。中国は広域経済圏構想「一帯一路」などで周辺国とのウィンウィン関係の構築をうたう。しかし、苛烈な言論統制の下での共産党による強権政治や対外強硬政策、新疆ウイグル自治区などでの少数民族弾圧など、危うさを抱えたまま膨張する中国は周辺に不安をまき散らしている。香港での騒乱の長期化はその象徴といえ、ここから東アジアに緊張が広がるリスクも懸念される。

高まる民間の存在感

経済面では米中貿易摩擦の影響を防ぐための景気対策が必須だが、それは過剰債務問題の深刻化と表裏一体だ。舵取りを誤れば、世界経済への波及は不可避である。

一方で、中国経済が規模の拡大のみならず独自のイノベーションで質的転換を遂げつつあることも見逃せない。ビッグデータを集め活用するうえで、中国の権威主義体制には有利な面もある。こうした環境下、華為技術(ファーウェイ)のように、最先端技術で世界をリードする企業も出始めた。

国家主導の色彩が強い中国経済だが、民営企業の存在感は確実に高まっている。中国が大きく変わる可能性を探すなら、その芽は民間にあるだろう。本特集に、不安定な超大国の先行きを見通すうえで重要な経営者と、企業のデータを満載したゆえんだ。

(本誌:西村豪太)

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