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真の課題に向き合わない安倍政治の「終わり方」 困難の度を増す国際環境

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改憲ではなく年金改革こそ国民の関心事。目先の利益を追う政策は限界に。

第4次安倍再改造内閣発足で記者会見する安倍首相(AP/アフロ)

安倍晋三首相は内閣改造を行い、忠臣で内閣を固めた感がある。台風15号が千葉県に大きな被害をもたらす中にもかかわらず、それこそどこ吹く風といわんばかりに、スケジュールどおりの人事異動を行い、メディアの一部からは批判もある。それでも、戦後最長の在任期間を実現した安倍首相に怖いものはないのか、小泉進次郎環境相の宣伝効果もあってか、内閣支持率は上昇している。新内閣の滑り出しは順調のように見えるが、この内閣がどのような課題に取り組んで求心力を維持していくのか、前途は多難である。

7年になんなんとする安倍政権の実績は、大規模な金融緩和と消費税率引き上げの延期であろう。そのほかは、スローガンをぶち上げては立ち消えになり、また次のスローガンを打ち出すということの繰り返しであった。

しかし、政権を取り巻く国際環境は困難の度を増している。米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱に伴う世界経済への悪影響、中東情勢の緊張と石油価格高騰の兆しなど、暗雲が垂れ込めている。安倍政権の金融緩和は、外国政府が知性と品性のゆえにあえて採らなかった政策を先行して実施したことで、為替安などの利得をもたらした。しかし今後、世界経済の悪化に備えて欧米諸国も緩和に踏み切れば、日本は打つ手に窮する。当面は、消費税率引き上げの打撃を緩和するばらまき政策、携帯電話料金の引き下げなどで、国民の負担感を和らげようとしているが、その種の痛み止めにも限界がある。

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