遠藤新社長は、かつてのフジテレビが「保守的で傲慢になっていた」と語った(撮影:梅谷秀司)
業績回復のミッションを背負い、2017年に事業会社のフジテレビジョンと親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)のトップに就いた宮内正喜社長は、大幅な番組改変や制作費の削減を実行。その結果、2017年度の決算は6期ぶりに営業増益に転換し、2018年度は一前年度比で2倍以上に膨らんだ。
だが、肝心の視聴率の回復は道半ばだ。2018年度のゴールデン帯(19~22時)は8.1%と前年度から0.3ポイント改善したものの、日本テレビ(11.9%)、テレビ朝日(10.5%)、TBSテレビ(10.0%)に次ぐ4位に甘んじたまま。
そうした中、今年6月に宮内氏からフジテレビ社長のバトンを受け取ったのが、遠藤龍之介新社長だ。就任記者会見では、「社長としてのミッションはシンプル。フジテレビの視聴率を回復させ、その結果としての業績をさらに上げること」と語った。
来年からはNHKが地上波放送のネット同時配信を始めるほか、さまざまな動画配信サービスも台頭している。かつて「視聴率三冠王(19~22時、19時~23時、6~24時)」の座を欲しいままにしてきたフジテレビ。競争環境が変わる中でかつての栄光を取り戻せるのか。遠藤新社長に聞いた。

 

――2010年を最後に、「視聴率三冠王」の座から大きく遠ざかりました。今のフジテレビの課題はどこにあるのでしょうか。

それまでは日本テレビと視聴率首位を争う時期が続き、延べ30年ほど、1位と2位を行き来していた。かつてのフジテレビは確実に「時代の心」みたいなものを捕まえていて、変化に対応できていた。ただ、ある時期からわれわれが硬直化し、そのスピード感についていけなくなった。その証拠にここ数年、(「めちゃ×2イケてるッ!」や「とんねるずのみなさんのおかげでした」といった)いくつもの長寿番組を打ち切らざるを得なかった。

一連の改革が終わり、去年の後半くらいから数字(視聴率)も徐々に上がってきた。試行錯誤を繰り返しながら新しいフェーズに入っていこうという局面で、社長のバトンを渡されたと認識している。

新しい挑戦への速度が鈍った

――「硬直化」はなぜ起きたのでしょうか。

保守的で傲慢になっていた。(視聴率で)勝ってきた中で、知らず知らずのうちに過去の成功体験から脱却できなくなり、新しい挑戦への速度が鈍ってきた。番組が当たっているときは新陳代謝のスピードも遅くなる。なぜなら、変える必要がないから。構造的な部分だ。成功した企業がかかりやすい病気だと思う。

非常に高い視聴率を獲得した番組には、しだいに時代との齟齬が出てきていた。ただゴールデン帯(19時~22時)の平均よりは上で、その時間帯のタイムテーブルには寄与していた。これをどこで(打ち切るかという)というタイミングを考えるのは非常に難しい。数字が落ちても復活することもある。それがやはりテレビ局の編成の妙味だ。