東海大学 教授 加藤好崇氏に聞く 『「やさしい日本語」で観光客を迎えよう インバウンドの新しい風』を書いた

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かとう・よしたか 1960年生まれ。早稲田大学大学院日本語教育研究科修了、博士。専門は日本語教育学、社会言語学。東海大学国際教育センター教授。著書に『異文化接触場面のインターアクション』『やさしい日本語とやさしい英語でおもてなし』(共著)など。(撮影:尾形文繁)

興味があるから訪日、在留。まず日本語で話しかけよう

外国人と話すときは外国語を使う、というのが日本人の常識だろう。が、日本でも外国語を使うべきなのか。日本に来る外国人(インバウンド)は日本に興味があって来ているわけだし、全員が日本人にとって代表的な外国語=英語を話すとは限らない。まずは日本語で話しかけて、コミュニケーションに点火しよう。

「やさしい日本語」で観光客を迎えよう—インバウンドの新しい風
「やさしい日本語」で観光客を迎えよう—インバウンドの新しい風(加藤好崇 著/大修館書店/1500円+税/161ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──「やさしい日本語」というカテゴリーがあるんですね。

もともと阪神・淡路大震災をきっかけに、日本語の得意ではない外国人に情報を伝える、防災・減災の観点から生まれました。また、在留外国人と日本人の多文化共生のツールとする考えもあります。

──それを観光でも使おうと。

東日本大震災でインバウンドがいなくなったとき、この機にツーリストトーク、つまりインバウンドへの言葉遣いの問題点を洗い出して、平常化に備えようと思いました。日本各地の観光現場を回ると、「外国のお客さんに日本語を使ってもらうと申し訳なく思う」という話をほうぼうで聞く。「申し訳ない?」と違和感を持つのに多少時間を要し、私自身も「外国人とは英語」というステレオタイプを持っていたことに気づきました。で、思ったんです。「ツーリストトークに日本語が使えるな」と。その後「やさしい日本語ツーリズム研究会」に出合い、日本語の可能性を顕在化させたいと考えました。

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