柳川範之 東京大学大学院教授(やながわ・のりゆき)1963年生まれ。慶応大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

近年の構造変化の特徴の1つは、産業の垣根が崩れていることだ。例えば、ネット配信によって放送と通信の垣根は低くなり、フィンテックに象徴されるように、金融業とIT産業とのつながりも密接になっている。

その原因は、当然技術革新である。人工知能の発達やIoT(モノのインターネット)の進展などによって今後、それまでの技術では難しかった情報やデータが得られるようになるだろう。そうすれば、よりいっそう異分野・他産業への進出が容易になったり、新しい分野との連携に今までにはないシナジーが生じたりする。結果的に、ますます既存の産業の垣根は低くなっていくことだろう。

このような産業構造の変化は、政策のあり方にも大きな影響を与える。なぜならば、多くの政策は、業法などがベースになっており、その業法は、既存の産業の分類を基に作られているからだ。業界をまたぐようなビジネスや既存の業法に当てはまらないような業務が出てくると、場合によっては既存の業法がそのビジネスを邪魔することになりかねない。