名古屋大学医学部附属病院 救急・内科系集中治療部 講師 沼口 敦(ぬまぐち・あつし)1996年名古屋大学医学部卒業。小児科医。循環器系の治療に当たる。11年から救急科。日本小児科学会所属。厚生労働科学研究費補助金事業研究代表者。

子どものすべての死を検証する取り組みが「チャイルド・デス・レビュー(CDR)」だ。予防できる子どもの死を減らすことを目指し、日本では2010年代から本格的に研究が始まっている。

私が携わっている厚生労働省のCDR研究では、14〜16年に全国の小児科病院などの施設で亡くなった18歳未満の死亡例を対象に、データが得られた2348人分の死因を検証した。具体的には、亡くなった子の死亡時の様子、検査結果、虐待の有無や解剖結果などを病院から聞き取り、CDRを研究する専門家が死因の再判定を行った。

その結果、虐待が原因と考えられる死亡例は、全死亡例の6%に当たった。国による既存の死亡事例検証では、虐待死の割合は子どもの全死亡数の約2%だが、この数字と比較すると、潜在的な虐待死者数は3〜5倍ほどになると推計される。