9月5日、ロシア極東のウラジオストクで安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談した。会談前の5日未明、プーチン氏はウラジオストクの東方経済フォーラム会場から中継映像を通して、北方領土の色丹(しこたん)島に新設された水産加工場の稼働式に参加した。〈日本側によると、首相は会談で、プーチン氏が水産加工場の稼働式に参加したことを念頭に日本の立場を伝えた。しかし、首相がプーチン氏に直接抗議したかどうかは明らかにしなかった。/今回の会談でも、北方領土問題を含む日ロ平和条約の締結に向けて進展は見られなかった。(中略)/首相は5日、首脳会談後に開かれた東方経済フォーラムの全体会合で演説し、「日ロの新しい協力関係は、われわれ2人の努力によって、着実に、その姿を見せつつある」と強調。「平和条約を結び、両国国民がもつ無限の可能性を一気に解き放ちましょう」と呼びかけた。/一方、プーチン氏は全体会合で、北方領土問題について「この問題は二国間関係におさまらない。軍事や安全保障にも関連し、とりわけ日本が米国に対して負っている義務の問題がある」と指摘。日米安全保障条約を改めて問題視した。/さらに北朝鮮による弾道ミサイル防衛のためとして日本が米国から導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」にも言及。「我が国の極東の領土の大部分がその射程に入る」と指摘し、平和条約交渉の対象に含まれるとの考えを示した。これに対し、首相はイージス・アショアは「日本が運用する」と反論した〉(9月6日付朝日新聞朝刊)。

以前と比較して、プーチン氏の米国批判が激しくなっている。これは8月2日にINF(中距離核戦力)全廃条約が失効したことと関係している。ロシアは、米国が将来、日本にINFを配備する可能性があると考えて、日本を牽制しているのだ。この点について、ロシアの懸念を払拭することが北方領土交渉をまとめるうえで不可欠になった。