(撮影:梅谷秀司)

「友山、まず生産調査部を立て直してもらいたい」

トヨタ自動車が「TPS本部」を設けたのは、2018年1月のことだ。

自動運転や電動化など新技術が台頭し、自動車業界は100年に1度の大変革期にある。だからこそ、継続的な業務改善で競争力を高める必要がある。

そこでトヨタは、経営哲学のトヨタ生産方式=TPSを取り戻すべく、生産部門はもとより、営業や技術開発部門の事技職(事務・技術職)なども含めて、全社的にTPSを展開し、競争力の底上げを目指した。

「おまえが面倒をみてくれ」

と豊田章男から命じられ、本部長に就いたのが、副社長の友山茂樹だ。

章男の指示は具体的だった。

「TPSを何とかする前に、まず生産調査部を立て直してもらいたい」

友山は、「僕のルーツはTPS」と自認するほどの“カイゼンマン”だ。

【生産調査部】大野耐一らがTPSの現場への浸透を目指して創設したセクション。厳しい指導により現場から恐れられた。章男はトヨタ入社7年目の1990年に同部に配属され、「現地現物の大切さを学んだ」と語っている。

1991年、生産技術部からTPSの“総本山”の生産調査部に異動したが、そのときの直属の上司が、係長になりたての章男だった。その上司がまた、TPSの生みの親ともいうべき伝説の元副社長の大野耐一の弟子である、元技監の林南八だった。

したがって、章男と同様、友山も林の弟子に当たる。つまりTPSは、大野から始まって、林、章男、友山と脈々と受け継がれてきた。現TPS本部長の朝倉正司も友山の元部下で、“南八塾”出身である。