週刊東洋経済 2019年9/21号
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子どもの虐待死が相次いでいる。今年1月には千葉県野田市の栗原心愛(みあ)さん(10)、6月には札幌市の池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が虐待によって命を落とした。さらに8月末には、鹿児島県出水市で母親の交際相手から虐待を受けたとみられる4歳の女の子が亡くなっていたことがわかった。

相次ぐ悲惨な虐待は決してひとごとではない。一見して普通の家庭でも、育児ノイローゼや家族の孤立、DV(ドメスティックバイオレンス)などにより深刻な虐待が起こりうる。受験期に過度に子どもを追いつめる教育虐待も社会問題化している。

虐待死が起こると、矢面に立たされるのが児童相談所だ。だが児童福祉司の人手不足で現場はパンク状態。いかに“児相頼み”から脱却し、虐待を防止するか。その仕組みづくりが問われている。

命を担う人材が足りない

虐待以外にも、子どもの命には危険が忍び寄る。例えば幼児を安全に預かる場である保育園も、実は危険と隣り合わせだ。保育園で起こった重大事故の件数は、2018年に約1200件と近年急増している。

保育園をめぐっては、10月から幼児教育・保育の無償化が始まる。それにより予測されるのが、現場を担う保育士のさらなる不足。すでに低賃金、過重労働で離職が相次いでおり、保育の質をいかに保つかが喫緊の課題となっている。

身近な生活環境にも“危険”は潜む。子どもの死因の上位には病気に加え、不慮の事故が挙がる。低年齢児であれば、誤飲、転倒、溺水といった事故が命を奪う。小学校低学年を中心に、通学路上の痛ましい交通事故も後を絶たない。さらに今年5月、神奈川県川崎市で起こったような凶悪な通り魔殺傷事件──。大人社会の矛盾は、罪なき子どもにも刃を向ける。

また10代になると、学校での人間関係などに悩み自殺する子どもが急増する傾向も変わらない。

こうした命のリスクから子をいかに守るか。虐待について、専門家は背景の1つに日本における子どもの権利への意識の低さを挙げる。児童福祉法に「子どもの権利」が明文化されたのは16年。今後その具体的な議論が求められる。

さらに保育園事故や不慮の事故を防ぐには、親がそのリスクを十分に把握することが不可欠だ。

本特集では子どもの命のリスクと、解消策を網羅的に検証した。子の命を守るのは大人の責任だ。

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少子化だが需要は高く、市場拡大の余地

2019年10月からは幼稚園や保育所などの利用料が3歳以上は無償化され、需要がさらに増加すると見られる。喫緊の課題は保育士の確保。幼児教育も熱を帯びる。ベネッセHDでは英語を扱った教材で幼児会員数が伸びている。小学校受験人気も根強い。少子化で子ども1人にかけられるお金が増加。一方、中国の転売規制でまとめ買いが縮小傾向にあるなど、おむつや哺乳瓶業界には逆風も。