旺角(モンコック)警察署前の大通りを占拠して抗議するデモ隊。スマートフォンのライトを一斉に光らせ、抗議活動への連帯を表明している(ロイター/アフロ)

都市の中心部に集まり、道路を封鎖してシュプレヒコールを上げる群衆。そのデモ隊を鎮圧するため、盾を立てて催涙弾の銃を構える警察の機動部隊。香港では、中国本土に犯罪者の引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案への反対運動をきっかけにした、学生ら市民と当局の対立が3カ月経った今もなお続いている。

夏休み明けの9月初週、香港政府は事態を収拾すべく、大幅な譲歩に踏み切った。政府はそれまで市民の反発から改正案の審議を無期限延期するとしていたが、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が9月4日にテレビ演説を行い、デモ隊の要求をのんで改正案を完全撤回すると表明した。

しかし、香港政府の決断は明らかにタイミングを逸したものだった。2014年の民主化デモ「雨傘運動」の学生リーダーで、8月末に逮捕・保釈された黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏は、林鄭長官のテレビ演説後、すぐさまツイッターに「少なすぎる、遅すぎる」と投稿。あくまで「5つの要求すべてに回答を求める」と主張した。

デモ隊は、警察がデモ隊に振るった暴力の調査や逮捕されたデモ参加者の釈放、さらには普通選挙の実施など5つの要求を政府に突きつけている。改正案の完全撤回はもはやその1つでしかなく、民主派の楊岳橋・立法会議員は、「この3カ月の間に流した血と汗と涙を考えれば、市民は(逃亡犯条例改正案の撤回だけでは)満足しない」とメディアに語った。

警察への怒り