有料会員限定

10月実施の幼保無償化「劣悪でも対象」に自治体反発 年間8000億円の行方

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
拡大
縮小

「子の安全」は置き去り。東京・杉並区、江戸川区は条例で認可外に制限も。

内閣府に張られた啓発ポスター。テレビCMも積極投下中

特集「子どもの命を守る」の他の記事を読む

政権肝煎りの少子化対策、幼児教育・保育の無償化が、10月からいよいよ実施される。

3月に行われたインテージリサーチの調査(サンプル数は1万803人)によれば、全体の約7割、当事者である未就学児のいる世帯では9割近くが賛意を示しており、世論の評判は上々。が、自治体や保育の専門家からは、「子どもの安全」が置き去りにされていると、批判の声が相次ぐ。

「どんなに劣悪な環境の園でも、5年間はフリーパスで無償化、というのはあまりに乱暴。結局、国が言いたいのは『子どもを産んだらとっとと預けて働き、税金を納めましょう』ということ。これでは子どもは主役じゃない。死亡事故でも起これば、矢面に立たされるのはわれわれですよ」。都内のある区で保育政策を担当する職員は怒りをあらわにする。

問題となっているのは、無償化の対象になる施設に、国の定める設置基準(指導監督基準)を満たさない認可外保育施設も、今後5年間は「経過措置」という形で含まれる点にある。市区町村に「保育の必要性」を認められた3〜5歳児の利用料が、月3.7万円まで無償になる。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
子どもの命を守る
被災地の子どもたちの8年
交通事故、誤嚥、転落、溺水…
どこまで抑止できるかは未知数
再発の抑止効果に限界
家庭問題以上に学校問題が深刻
Part3 病気・事故が襲う|先天性の疾患、感染症、小児がん
保育園関係者・匿名座談会
支援員が足りない
待機児童解消策の死角
年間8000億円の行方
人件費を事業拡大に流用
Part2 保育園の死角|急増する重大事故件数
子のしんどさを拾い、親の苦悩を受け止める
当事者が語る|宮本ゆかり
児童相談所だけではもう限界
子どもたちを“薬漬け" 児童養護施設の現実
広がる向精神薬の服用
米国やフランスで実践
独自調査|月の残業100時間超も…
母は「一緒に死にたかった」
元主治医が語る|小児科医 木下あゆみ
当事者が語る|ブローハン聡
知られざる児童虐待
Part1 止まらない虐待|行政支援が届かない現実
「潜在的な虐待死数は3〜5倍」
インタビュー/名古屋大学医学部附属病院 沼口 敦
子どもの命を守る
続発する虐待死、その真因を探る
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内