本誌独自試算で読み解く年金財政検証の真実 所得代替率と年金額で見る年金の未来像

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実質年金額で見ると、意外な姿が浮かび上がってくる。

本誌:野村明弘
写真:7月の参院選への影響を避けるためか、年金財政検証はいつもより約2カ月遅れで公表された

厚生労働省は8月27日、5年に1度行われる公的年金の財政検証の結果を公表した。今後約100年間の給付水準見通し(本体試算)とともに、制度改正に向けた国民的議論の土台となるオプション試算を示した。

今夏の金融庁報告書に端を発した「老後2000万円問題」では、国民の皮膚感覚に近い年金「額」に注目が集まった。財政検証では従来、後述するメインの給付水準指標である「所得代替率」とともに年金額での試算結果も公表されている。ここでは本誌の独自試算を含め、最新の検証結果を基に所得代替率と年金額の両面で年金の未来像をわかりやすく説明していこう。

まず本体試算。これは制度改正を行わずに現行制度が続いた場合、将来世代の給付水準がどうなるかを示したものだ。その際、一定の幅で経済前提を複数置き、ケースごとに試算値を示している。

その概要が下図だ。いちばん左が現在の数値で、その右側に6つのケースが並ぶ。左から右に行くほど経済前提は悲観的になる。100年もの超長期試算であるため、どの経済前提が最適かの判断は難しい。以降の図表では、やや悲観寄りのケース3とケース5のレンジで見ていく。

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