毎年夏に米ジャクソンホールで開かれる経済シンポジウムは、世界の中央銀行幹部や経済学者に内省の機会を提供する。だが、今年はテーマが「金融政策の課題」だったにもかかわらず、独善ぶりを助長するだけに終わった可能性がある。危険なことだ。

率直にいって、インフレ目標を多少いじったくらいでは問題に十分対処したことにはならない。先進国では物価上昇率の目標未達が延々と続いている。日本銀行の大規模な金融緩和がインフレ率の上昇にまるでつながっていないことからしても、これまで自明とされてきた理論は誤りだったと考えたほうがよい。中央銀行は金融政策によって物価上昇率をコントロールできるとは限らないのだ。

欧州と日本は「金融ブラックホール」とでもいうべき状況にはまっている。金利が低下しすぎて金融緩和が効かなくなる流動性のわなに陥っているのだ。米国もあと1回景気後退に見舞われれば利下げ余地が枯渇し、同じ運命となる。