自民党作成の漫画本を手に、党の改憲条文案を説明する下村博文・憲法改正推進本部長(読売新聞/ アフロ)

秋の臨時国会をにらみ、与野党間で論議となりそうなテーマが憲法改正である。7月の参議院選挙で与党の自民・公明党に日本維新の会などを合わせた改憲勢力が3分の2の議席を割り込んだ。ここに国民民主党の一部議員など憲法改正に積極的な議員を加え、もう一度3分の2を確保して、秋以降の国会で改憲論議を進めようという声が与党の中から出始めている。

もちろん、そこまで改憲側が追い詰められているとみることもできる。また、現在の安倍晋三政権は来年の東京オリンピック以外にめぼしい施策がなく、憲法改正以外にとくに掲げられる旗もないといった事情もあるだろう。

とはいえ、そもそも憲法改正とは、政治への何らかの期待を持たせるテーマではある。閉塞した状況が打ち破られ、政治の革新が始まるといった漠然とした期待を呼び込むからである。

だが、憲法改正は議員の数合わせ次第で始まるわけではない。手続き、提案される条文、世論調査、そして国民投票というプロセスの中でまずは議論されるべきである。ところが、現状では、こうした諸事情が冷静に吟味されないまま、改憲への漠とした期待と、断固拒否するという姿勢とに二分されている。何が問題なのか、現在までに浮上したいくつかの点について見通しを立ててみるべきであろう。

まず、憲法改正を議論するとき、これまではどの条文を変えるべきかという形で議論が始められてきた。実際、問題がある条文は憲法ではなく、憲法附属法と呼ばれる関連する重要法の改正で済むことが多い。また、環境権など新しい人権を規定するといった提案も、やや現実離れの議論だとして真剣に捉えられてこなかった。