日本郵便の横山邦男社長(撮影:風間仁一郎)
8月23日。日本郵便の横山邦男社長は本社22階「前島ルーム」で、首都圏の現場社員のうち400人との対話集会を開催した。質問は抽選方式。参加者には番号が振られていて、質問があろうがなかろうが、抽選に当たった社員は質問用のマイクを持ち、発言をした。
「週刊東洋経済」ではその集会の模様を録音した音声データを入手。その対話を聞くと、「上から目線」を炸裂させる経営トップと現場社員の温度差があまりにも深刻であることがわかる。以下はその質疑応答のほぼノーカット版だ(社員個人が特定されるような情報は一部割愛)。日本郵便の不適切販売を巡る問題を知る上で、株主を含む関係者には是非ご一読いただきたい。

「何かされるのではないか」

A(南関東) 局長のAと申します。今日、このような機会をつくっていただきまして、まずはありがとうございます。今日参加するにあたりまして、社員といろんな話をしてまいりました。いろんな伝えたいことがあるのですが、社員から言われたことの1番、「局長、今日行くのであれば、本音で言ってきてもらいたい」と言われたことを伝えます。

社員から自分たちの声を、なかなか本音を言えない。いろんな調査だったり、研修でのアンケートだったり、いろんなものがあるのだけれども、会社の方針と違っていたり、指導している方と違った意見、こういったものを書いたり述べようと思うと、あとから何かされるのではないかという脅威があって、本音を言えませんと。ぜひそういう本音を直接話をできる場をつくっていただきたい。できれば、今回のことが起きた場合には、局へ来て、「今どうなのだ」と聞きに来てくれませんかと。

もちろん呼んでいただいて来ることは厭わないですが、ぜひ実際お客さんがいる目の前で、そういう場をつくって来ていただいて、外野があまりいない中で本音で話をさせていただきたいというのを、伝えてきてほしいと言われましたので、今日お伝えさせていただきます。以上です。

横山社長(以下、横山) ありがとうございます。僕から質問。何かされますか。

(会場から、「されますよ」の声)

横山 Aさんに聞いているのだよ。

A もしかしたら直接的には起きないのかもしれません。ただあとから「あいつはいつもこう言うから」とか、いろんな場面場面で、もしかしたらこうやって直に話している場合には出ないかもしれないのだけれども、その他の人たちがそれを直接聞いていないにもかかわらず、違う話に加工して、「だからあいつは駄目なのだ」ということを言われることは感じます。

横山 分かりました。僕も若干そういうことを思ったので、今日は皆さんにも安心していただきたいけれども、支社もいないし、本社の役員や部長もいないわけですから、安心してしゃべってください。それは私が徹底いたしますし、もっともっと、さっきどなたか知りませんがおっしゃったように、「誰も来ないじゃないか」というようなお話もありましたが、本社の役員や部長、私を含めて、ぜひ本音の話をしに行くようにしたいと、そこはお約束をいたします。

A お待ちしております。

横山 行きます!

司会 次、東京…。

横山 「会いに来てくれ」と、(自分から)言ったらいいじゃない?

(会場から「言ってもきません。メールも送りました。来ません」の声)

横山 あの人、まだ当たってないから。

(会場から「当ててね」の声)

「若手社員が悩んでいる」

B(東京23区) 一つだけ現場としてお伝えしたいことがありまして、ご質問させていただきます。今、私たち金融渉外部は保険を、お客さまに対して第一優先の活動をさせていただいているさなかでございます。それに踏まえて、少し分かったところもありますので、社長にもぜひお伝えしたいことがあります。現場として、3年生未満の若い子たちがやっぱりこういった一連の報道があって、自分自身人生の選択として郵便局がよかったのかどうか、またこのようなことがあって、これから先、長い人生においてすぐに回復するとは思えないとか、そういったところも意見としてありました。

私も社長が言うとおり、郵便局が大好きです。その中で、本社だけではなく、現場の例えば営業でいうと成績がよかった人、悪い人の間ですね。間で、成績がいい人、悪い人の気持ちも分かる社員が、現場と本社をつなぐところに立って、若い子たちが、先ほど言った人材を放出しないために、これからの郵便局のために、若い子たちに対してお客さま第一優先ももちろんそうなのですが、社員に対しても、「郵便局、やっぱりよかったな」と思えるような活動を今同時にできたらいいかなと思って、質問させていただきました。例えばそういったセクションだとか、部とか、これから先、設置するとか、そういったことはありますでしょうか。ぜひご回答、よろしくお願いします。

週刊東洋経済 2019年8/31号
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横山 大変貴重な提言をいただきました。まず○○郵便局の皆さんには、全員の皆さんに、私、日頃お世話になっていましてありがとうございます。実は若い人をどう育てていくかということについては、まだ指示はしておらないところだけど、何年間かは、目標は持たさなくてもいいよね、ということだと思うのです。その上でどういう育て方をするかを考えなきゃいけない。最初から数字のプレッシャーのもとで生きていくと大変だったと思うのですね。

実は住友銀行という、(住友銀行の行員が営業をした後は)ぺんぺん草も生えていないような(営業ノルマの厳しい)会社に私は入ったのだけれども、住友銀行も最初の3年ぐらいはたいした目標はなかった。親兄弟から預金取ってこいとか、そんなこと言われたこともないし。ということですので、いい人と悪い人というか、連絡体制というものについては、いいご提言なので考えたいと思います。今までごめんね、考えたこともなかったので、どうもありがとうございました。

司会 続いて、関東から。