中国大手企業に勤務する李さん(30)は、夏休みを利用して7月に日本を訪れた。妻と小学生の子ども、そして60歳を超える両親も連れてきた。電車での移動は不便なので空港からタクシーを利用し、明治神宮に直行。その後は料理教室に出向き、日本料理の調理方法を学んだ──。

これが今の中国人観光客の典型的な行動パターンだ。その行動は実にスマート。以前と大きく変化している。

「転売ヤー」と呼ばれる転売業者が、転売目的で家電や化粧品をあさった「爆買い」ブーム。そして、東京や京都、大阪などの「ゴールデンルート」を団体バスで短期間のうちに移動する「弾丸ツアー」。こういった乱暴で慌ただしい団体客は、もはや過去のものだ。

最近の中国人旅行者はスマートフォンで情報を集め、自分たちの行きたい所にタクシーで移動し、モノを買うだけでなく体験型消費も楽しむ。「日本人以上に、日本の事情に詳しい人が増えている。そういった個別の事情に応じて、需要は細分化している」と、中国人の消費行動に詳しい三菱総合研究所の劉瀟瀟(りゅうしょうしょう)氏は語る。

地方への観光も急増

日本に来る外国人観光客は、ここ数年右肩上がりで増加している。2018年は3119万人で、日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降、過去最高の数字になった。その中で昨年最も多かったのが、全体の27%を占める中国人観光客だ。