IR誘致について「決断したのは7月末」とした林市長。藤木会長は「命を張ってでも反対する」と鼻息が荒い(時事、撮影:大澤 誠)

「林(文子横浜市長)さんは私の顔に泥を塗った」

8月23日の記者会見でそうぶちまけたのは、“横浜の首領(ドン)”と称される横浜港運協会会長の藤木幸夫氏(89)。横浜で港湾荷役事業を営む藤木企業の会長だ。同氏は前日に林市長がIR(カジノを含む統合型リゾート施設)を横浜・山下埠頭に誘致すると発表したことに猛反発してみせた。

林市長は、生産年齢人口が大きく減少する中で老年人口が増加するという「横浜の将来への強い危機感」を背景に、「成長、発展を続けていくためには、IRを実現する必要があるという結論に達した」と説明した。IRを誘致できれば、建設時に7500億円、運営時には年間6300億円を超える経済波及効果を見込めるというのだ。そして、年間1200億円の税収増が期待でき、財政の改善にも寄与するとしている。

カジノ抜きでの観光施設整備を訴えてきた藤木会長は6月下旬、山下埠頭のあり方について要望文書を出していた。ところが返事が来ないままIR誘致が正式発表されたため、「俺は命を張ってでも反対する」と憤懣(ふんまん)やる方ない。

実際、7月24日の定例会見で林市長は「IRについて(調査分析を行っているが)、市としてまったく判断していない」と話していた。ただ、決断を迫る動きはあった。横浜商工会議所は同月18日、横浜市に対してIR誘致を早期に決断するよう求める要請書を提出。IRに絞った要請書はこれが初めてだった。