写真はイメージです(iNueng / PIXTA)

「75歳の男性が月額保険料5.3万円、払込期間10年の終身保険に入るとする。支払う保険料は年63.6万円だから、10年間の総額で636万円。それだけ払って、死亡保険金は500万円。そんな『掛けオーバー』の保険が売れるわけがない」。ある現役局員はそう本音を漏らす。

掛けオーバーとは、掛け金(保険料)の総額が保障額や満期保険金を上回る保険商品のこと。そのような商品は珍しくないというのが現在のかんぽ生命の実態だ。

掛けオーバーの商品を売るために、局員たちはあの手この手の営業トークを繰り広げる。その一例を下図に示したが、「問題トーク」はどのくらいあるか、わかるだろうか。営業現場では下に紹介した問題トークのフレーズが、実践的な「話法」の中に取り入れられて巧妙に用いられている。

平均寿命でごまかす

まずは「平均寿命話法」の内容を再現してみよう。

局員「おじいちゃん、今79歳ですよね。男性の平均寿命は今81歳くらいだとご存じですか?」

高齢者「知っているよ。だったらなんだ」

局員「それでしたら500万円の死亡保険金が下りる保険に入られてはどうですか。保険料は年75万円くらいです。仮に平均寿命の81歳で亡くなられると、支払う保険料は2年分の150万円。それに対して死亡保険金はその約3倍なわけです」

この話法の問題は、2年分の保険料に意識を向けさせて、高額な保険料総額から顧客の関心をそらすことにある。これは「2年話法」とも呼ばれる。2年間だけでいいので保険に加入してもらうことが大前提の話法だからだ。