太田聰一 慶応義塾大学経済学部教授
おおた・そういち 1964年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学大学院修了(Ph.D)。名古屋大学大学院経済学研究科教授を経て2005年から現職。専門は労働経済学。著書に『若年者就業の経済学』、共著に『もの造りの技能─自動車産業の職場で』『労働経済学入門』など。(撮影:梅谷秀司)

人手不足が続いている。ハローワークにおける新規求人の充足率(求職者と結合した求人の割合)は、今年第1四半期には13.2%まで低下した。10年前に30%台半ばであったことを考えると、採用の困難さは明白だ。

加えて、中長期的な人口減少により今後さらなる労働力不足時代が到来すると予想する論調がある。産業構造の変化による特定分野での人材不足も懸念されている。政府はこうした課題に対応すべく、国内の未活用労働力の掘り起こしや外国人労働力の受け入れ拡大を進めている。だが、人を増やすことだけに気を取られるべきではない。2つの点を指摘しておく。

第1に、現在の人手不足の要因として人口減少を挙げる見方があるが、これは事実と異なる。日本の労働市場は、この5年くらいの間に急速に人手不足の様相を強めた。もしも人口減少によって人手不足が生じているのだとすれば、その間に労働市場に参加する人の総数も減っているはずだ。